カラフル

「せんせー、陽くんは、まっったく来て2週間に見えないので大丈夫だと思いまーす」

「ぼくもそう思いまーす」

「今を時めく学校の有名人なんで、問題ないと思いまーす」

 小学生みたいな男子の掛け合いが繰り広げられる教室内で、クスクスと笑いが起こる。


「蘭が付いてるから大丈夫だよ。ね?」

「そうそう。蘭がちゃんとフォローしまーす」

 蘭と仲良しのちいちゃんたちが男子に続いて声を上げる。


「迷惑かけるかもしれへんけど、よろしくお願いします」と頭を下げる陽に対して、蘭が勢いよく首を横に振る。

「ううん。全然! 一緒にやろうよ、陽くん」と、蘭が言ったところで話はまとまった。


「じゃあ男子は佐倉な」

 先生の声に教室内に拍手が湧く。拍手と同時に、自分が実行委員を免れたことを喜ぶ声や、2人を崇める声が聞こえてきた。大半のクラスメイトは、2人が実行委員に決まったことを適任だと感じて、安堵の表情を浮かべているように見えた。



 実行委員が決定すると、坂本先生は「実行委員に後は任せる」と言って教室の後方でパイプ椅子に腰かけた。腕を組んで今にも眠りに落ちそうだ。

 先生の代わりに陽と蘭が前に出てきて、競技決めを進行する。

 黒板には、騎馬戦やスウェーデンリレー、借り物競争といった体育祭ならではの種目がずらっと並んだ。


 陽が主に話を進め、蘭が黒板に記録をしながら時折みんなに話を振る。