「凛ちゃんと遊ぶより、蘭ちゃんと遊んだほうが楽しい」
友達だと思っていた子が、蘭にそう言っているのを聞いた。
「どうして双子なのに、出来が違うのかしら」
表では平等に褒めてくれた大人が、陰でそう話しているのを知った。
私がいくら頑張っても蘭には勝てない。幼い心を傷つけられてもなす術はなかった。
大した取り柄もない私は、自分よりもずっと前を歩いている出来の良い姉の姿を遠くから眺めるしかなかった。
そんな蘭に初めて勝てたのが絵だった。同じ土俵で勝負しても勝ち目はない。だったら――と。
蘭に勝てるなら何でもよかったんだ。
「……今は別にそんなこと考えてないよ」
気恥ずかしくなって弁解するように笑う。でも陽は真剣に私の話に耳を傾けていた。
「きっかけは確かに“蘭に勝てるなら”だったけど、でも絵を描いてたら段々と描くこと自体が楽しくなってきたんだよね」
絵を描いているときは嫌なことや辛いことを忘れることができた。逃避と言われたら、そうなのかもしれない。
見たくない現実から理想の世界へと逃避できる。私にとって絵を描くというのはそういうことだった。
「だから気付いた頃には、周りが『姉と違っていつも絵ばっかり描いている暗くて不愛想な妹』って陰で言ってるのも分かってたけど、描くのをやめようとは思わなかった」
口を閉じると途端に空気が静まり、私が一方的に喋り続けていたということに気付く。
あまりにも親身になって聞いてくれるから、つい調子に乗って喋りすぎてしまった。言わなきゃよかったと後悔する。
陽が何か言おうとしていたが、ちょうど予鈴が鳴る。
「5限なんだっけ」
恥ずかしさを隠したくて、急いで荷物を持って立ち上がる。
友達だと思っていた子が、蘭にそう言っているのを聞いた。
「どうして双子なのに、出来が違うのかしら」
表では平等に褒めてくれた大人が、陰でそう話しているのを知った。
私がいくら頑張っても蘭には勝てない。幼い心を傷つけられてもなす術はなかった。
大した取り柄もない私は、自分よりもずっと前を歩いている出来の良い姉の姿を遠くから眺めるしかなかった。
そんな蘭に初めて勝てたのが絵だった。同じ土俵で勝負しても勝ち目はない。だったら――と。
蘭に勝てるなら何でもよかったんだ。
「……今は別にそんなこと考えてないよ」
気恥ずかしくなって弁解するように笑う。でも陽は真剣に私の話に耳を傾けていた。
「きっかけは確かに“蘭に勝てるなら”だったけど、でも絵を描いてたら段々と描くこと自体が楽しくなってきたんだよね」
絵を描いているときは嫌なことや辛いことを忘れることができた。逃避と言われたら、そうなのかもしれない。
見たくない現実から理想の世界へと逃避できる。私にとって絵を描くというのはそういうことだった。
「だから気付いた頃には、周りが『姉と違っていつも絵ばっかり描いている暗くて不愛想な妹』って陰で言ってるのも分かってたけど、描くのをやめようとは思わなかった」
口を閉じると途端に空気が静まり、私が一方的に喋り続けていたということに気付く。
あまりにも親身になって聞いてくれるから、つい調子に乗って喋りすぎてしまった。言わなきゃよかったと後悔する。
陽が何か言おうとしていたが、ちょうど予鈴が鳴る。
「5限なんだっけ」
恥ずかしさを隠したくて、急いで荷物を持って立ち上がる。
