カラフル

「凛ちゃんは、いつから絵描くの好きなん?」

 急に描くのをやめたので気を遣って話題を提供したのだろうか、それとも話すチャンスだと思ったのだろうか、陽が尋ねてくる。


「たしか……小学3年生のときかな」

「そんなに前からなんや。やっぱり昔から絵描くの上手かったんやなぁ」

「全然そんなことない。上手くなんてなかったよ。ただ……小3の時、造形大会で描いた絵が賞をもらったの」


 絵に興味を持ち始めた頃のことを思い出す。

 元々絵を描くこと自体は嫌いではなかったけれど、あの頃はどちらかといえば、身体を動かす遊びのほうが好きだった。

 だから自分の絵が受賞するなんて信じられなかったし、自分の描いた絵の何がいいのかすら分からなかった。でも、先生も両親も周りの友達も、みんなが私の絵を褒めてくれたのを覚えている。


「あの時、もしかしたら、絵だったら……蘭に勝てるかもって思ったの」

 今思えばなんて浅はかな動機だろう。でもあの時は幼い頭で必死に考えて、本気でそう思った。


 あの頃、私は既に色々なことで蘭と比べられるようになっていた。

 蘭は運動も勉強もずば抜けてよくできた。私もとりあえず何でも平均以上にこなしはしたが、いつも褒められるのは蘭だった。

 考えてみれば当たり前だ。出来が良い方が褒められる回数も多いに決まっている。頭の中では分かっているつもりだった。

 でも年を重ねるにつれて、元々社交的な蘭と比べて引っ込み思案だった私は、ますます周りと距離を置くようになっていった。