カラフル

 あの日――告白された日からずっと考えていた。

 陽はこの数日で完全にクラスに打ち解けた。友達も大勢いる。

 整った外見。加えて誰にでも分け隔てなく接する人懐っこい性格だ。人気が出ないはずがなかった。

 転入してきてから間もないのに、学年やクラスを問わず既に5人の女子から告白されたらしいと蘭からそんな噂を聞いた。そんな人がどうしていつまでも私なんかにこだわるのだろうか。


「なんでやろなぁ」
 
 陽は口元に手を当てて、少し考え込む素振りを見せた後、ヘラッと口角を上げて笑う。


「真面目に考えてよ」

「えー、これでも真面目に考えとるんやで? せやけど、好きって理屈やあらへんやろ? 好きになろうと思って好きになったわけちゃうし、どうしてって聞かれてもうまく説明できへんけど……でも、はじめて会ったときから、俺の中で凛ちゃんは特別やったんやと思うわ」


「それって……」

 問いかけて途中でやめた。彼の言うはじめてはきっとここへ転入してきた日のことではない。

 だったらいつなのか。昔どこでどんな接点があったのか。ずっと気になってはいた。でも、聞く勇気は1ミリもなかった。

 ――聞いたらまた嫌なことを思い出すかもしれないから。


 彼は私が言いかけて途中でやめたことに対して特に追及してはこなかった。

 陽もたぶん私がこの話題を嫌がることに気付いている。だから初日以来、3年前の話には触れないようにしてくれている。何となくそんな気がした。