昼休みになり今日も中庭を訪れると、木陰に座って膝の上で弁当の包みを広げる。
今日の献立は、昨日の晩御飯のハンバーグとと一緒に作った小さめのミートボールと玉子焼き。それに、作り置きしていたひじきの煮物に冷凍のミートスパゲッティ。あとは健康と彩りを少々意識して、おかずの隙間にブロッコリーとミニトマト。
一体何から食べようか、と箸を手に取ったところで「凛ちゃん!」と私を呼ぶ声がした。
――ああ、また来た。
露骨に嫌そうな顔をしたというのに、彼は一切気にする素振りを見せずに笑顔で文庫本を差し出す。渡されたのは、先日私が貸した本だ。
「これ、ありがとう。返すわ」
「もう読んだの?」
思わず聞き返す。その本は、シリーズ物のミステリー小説だが、文庫本にしては結構分厚く1ページあたりの文字数も他の本と比較すると割と多いものだった。
「うん。途中まで読んでら続きが気になって止まらんようになって」
確かに……その気持ちはすごく分かる。私が読んだときも、同じように一読してしまった記憶が蘇る。ただ時間の取れる休日だったような気はするけれど。
「昨日の晩、夜中の2時まで読んどったらな、今日の授業がめちゃめちゃ眠かったわ」
ふと、古典の授業中に先生に起こされていた彼の姿を思い出し、込み上げてきた笑いを必死に押し殺す。
「これって、続きあるの?」
彼はふわっと欠伸をしながら空に向かって腕を伸ばす。
「うん。今日は持ってきてない。……明日でいいなら」
「やった、ありがと」
彼はニッと微笑んで、私の横に腰を下ろす。どうやら今日もここでお昼を食べるつもりみたいだ。
今日の献立は、昨日の晩御飯のハンバーグとと一緒に作った小さめのミートボールと玉子焼き。それに、作り置きしていたひじきの煮物に冷凍のミートスパゲッティ。あとは健康と彩りを少々意識して、おかずの隙間にブロッコリーとミニトマト。
一体何から食べようか、と箸を手に取ったところで「凛ちゃん!」と私を呼ぶ声がした。
――ああ、また来た。
露骨に嫌そうな顔をしたというのに、彼は一切気にする素振りを見せずに笑顔で文庫本を差し出す。渡されたのは、先日私が貸した本だ。
「これ、ありがとう。返すわ」
「もう読んだの?」
思わず聞き返す。その本は、シリーズ物のミステリー小説だが、文庫本にしては結構分厚く1ページあたりの文字数も他の本と比較すると割と多いものだった。
「うん。途中まで読んでら続きが気になって止まらんようになって」
確かに……その気持ちはすごく分かる。私が読んだときも、同じように一読してしまった記憶が蘇る。ただ時間の取れる休日だったような気はするけれど。
「昨日の晩、夜中の2時まで読んどったらな、今日の授業がめちゃめちゃ眠かったわ」
ふと、古典の授業中に先生に起こされていた彼の姿を思い出し、込み上げてきた笑いを必死に押し殺す。
「これって、続きあるの?」
彼はふわっと欠伸をしながら空に向かって腕を伸ばす。
「うん。今日は持ってきてない。……明日でいいなら」
「やった、ありがと」
彼はニッと微笑んで、私の横に腰を下ろす。どうやら今日もここでお昼を食べるつもりみたいだ。
