ホームに「まもなく電車が到着します」とアナウンスが鳴り響く。読みかけの本に栞を挟んで顔を上げる。
「あ」
「ん? どうかした?」
突然声を上げた私に、隣で蘭が不思議そうに首を傾げて私の目線を追いかける。
反対側のホームに立っている人物に目が止まる。
大きなスポーツバッグを肩から下げ、額に浮かぶ汗を手首に付けたリストバンドで拭う青年。数日前、蘭に告白をした男子高校生だった。
「ああ、こないだの」
蘭がそう呟くのと同時に電車が入ってきた。その人は電車の陰に隠れて見えなくなる。
「あの後、何かあった?」
「何かって?」
彼女はキョトンとした顔をして首を傾げる。
「何か話したりとか」
「えーあるわけないじゃん。ちゃんと断ったもん」
”あるわけない”か。きっぱりと言い切る蘭に、思わず苦笑いを浮かべる。
「ねえ……普通は、告白を断られたら諦めるもんだよね?」
「えー? 普通っていうのはよく分かんないけど、大体の人はそうなんじゃないかなぁ。距離をとるか、これまで通りに接するかは別として、いずれどこかで気持ちに踏ん切りはつけると思うけど」
「そっか」
蘭が黙り込んだ私の顔をじっと覗き込んで「えっ、もしかして」と声を上げる。
「何、何? 凛、誰かに振られた?」
「まさか」
むしろその逆。告白されたのは私で、しかもあの転入生を振っただなんて、絶対に口が裂けても言えない。
「ちょっと聞いてみたかっただけ」
慌てて頭を振る私を見て、「なんか今日の凛、変なの」と蘭が呟く。
「あ」
「ん? どうかした?」
突然声を上げた私に、隣で蘭が不思議そうに首を傾げて私の目線を追いかける。
反対側のホームに立っている人物に目が止まる。
大きなスポーツバッグを肩から下げ、額に浮かぶ汗を手首に付けたリストバンドで拭う青年。数日前、蘭に告白をした男子高校生だった。
「ああ、こないだの」
蘭がそう呟くのと同時に電車が入ってきた。その人は電車の陰に隠れて見えなくなる。
「あの後、何かあった?」
「何かって?」
彼女はキョトンとした顔をして首を傾げる。
「何か話したりとか」
「えーあるわけないじゃん。ちゃんと断ったもん」
”あるわけない”か。きっぱりと言い切る蘭に、思わず苦笑いを浮かべる。
「ねえ……普通は、告白を断られたら諦めるもんだよね?」
「えー? 普通っていうのはよく分かんないけど、大体の人はそうなんじゃないかなぁ。距離をとるか、これまで通りに接するかは別として、いずれどこかで気持ちに踏ん切りはつけると思うけど」
「そっか」
蘭が黙り込んだ私の顔をじっと覗き込んで「えっ、もしかして」と声を上げる。
「何、何? 凛、誰かに振られた?」
「まさか」
むしろその逆。告白されたのは私で、しかもあの転入生を振っただなんて、絶対に口が裂けても言えない。
「ちょっと聞いてみたかっただけ」
慌てて頭を振る私を見て、「なんか今日の凛、変なの」と蘭が呟く。
