「まあっ危のうございますよ」 「誰か、お抱きした方が…」 「いえ、お抱きするとぐずってしまわれるのですよ」 そんな会話を背景に、「女御!」と言う東宮様の声が聞こえました。 絵巻物など押しやろうとしていると、簾を押すように入って来られたのは… 透き通るように白い肌、髪は剃ってあって真ん丸な頭、そして人の心を見抜くような真っ黒な瞳を持って、紅梅重ねの衣を少し引きずるように歩く、ほんの幼い女の子―