襖が開けられた反動でよろめく私の体は、東宮の腕によって強く抱きとめられました。
「なぜ…そんな事をおっしゃるのです…!!」
寝所に入らないまま強く強く抱きしめて仰る東宮様のお声もまた、震えていました。
「あんなに愛していると言ったではないですか…!
私はあなたを愛している!!!!」
「でも…っ東宮様はまだ私しかご存知なかった…」
私の言葉は、東宮様の唇で強く強く遮られました。
「こんな狂おしい感情を、他の何人にも抱かねばならぬのなら…私は出家でもいたします…」
私の目を見つめて仰る東宮様は、一筋の涙を流していて…
「雲に隠れていても、新月でも、月はそこにあるのですよ…」
ふと空を見上げると、月が…雲から出てきて、私達を照らしていました。

