平安物語【完】




三日ぶりの昭陽舎…

月は…雲に隠れている…


今私はご寝所の前に立っています。

女房達は、無理を言って返しました。

ご寝所の襖が開かないようぴたりと手で抑えております。


「東宮様…?」

微かな声で呼びかけると、急いで奥から出て来られる気配が感じられました。


「ここをお開けにならずにお聞きくださいませ。」

先ほどより強い声で申し上げると、東宮様はすぐ近くまで来て止まりました。