平安物語【完】










「静子…」


ふと顔を上げると、

「尚仁さま…」


ゆったりとした赤いお着物を一枚だけお召しになって、ふんわりと微笑んでいらっしゃいます。

じんわりと涙が滲んできました。

一歩一歩近づいて、最後の方は小走りになっていました。

しゃくりあげながら思いきり尚仁さまの御胸に飛び込むと、優しく強く、抱き締めてくださいました。