どんどん涙が溢れてくるのを見かねて膝を進めると、中宮様は、幼子のように私の袖を握られます。 何を仰ろうとしているのか見当もつきませんが、中宮様はそれを仰ることにひどく怯えているようです。 そんなに恐ろしいのなら、仰ってくださらなくても…と申し上げようと口を開きかけた時、中宮様が、搾り出すようなお声で微かに仰いました。 「二の宮の父は…帝ではありません… 二の宮の父は………左大臣様なのです………」