ポトリと涙を一粒落として、 「帝に会いたい…」 と呟きました。 「帝からも、お身体が回復し次第すぐに参内するようにと再三御言葉がありました。 女御様は眠っていらっしゃいましたが、午前中なんて、別々に来た帝の使者同士が鉢合わせるほど、ひっきりなしにあなた様のご様子をお尋ねだったのですよ。」 おかしそうに言う右大将の君に、私も自然と笑みがこぼれました。 「それから、もう一つ。 昼間に訪れた我が夫から、昨夜の話を聞いたのですが…」 今度は声を落とし、周囲に目を走らせながら言いました。