平安物語【完】




疲れ果てた私の体を抱いて、東宮様は縁側へとお出ましになりました。

今日は満月です。


「女御…

私が側に居ないときには、月を見てください。

私も月を見てはあなたを想います。

あなただけを…」


「勿体のうございます…」


東宮様はじっと私を見て、

「何度愛しても足りない心地がします。

しかし今一度すれば、あなたの細いお体では耐えられないでしょうね。」

とふふとお笑いになります。

私は顔が真っ赤になってしまって、東宮様のお胸に顔をうずめました。


今日だけ…
私の東宮様でいらしてくださいませ…