平安物語【完】




――左大臣様が…?

最も反対して然るべき方が、何故…


新たな疑問が浮かびましたが、言葉にする間もなく陣痛が激しくなりました。

もう呻き声を堪えることも出来ません。

「女御!!」と仰る尚仁様の声が不思議にも遠くに聞こえ、その声に、乳母達が急いで戻って来ました。

左手を尚仁様、右手を右大将の君に握られて、私もまた必死に握り返します。


乳母の声に合わせて必死にいきむも、なかなか生まれてはくれず、余りの苦しさに涙がとめどなく溢れます。


その時、不意に体が温かくなって、

《姫…静姫…》

と私を呼ぶ優しく美しい声が聞こえました。