平安物語【完】




「なんていたわしい…

女御…」

目を潤ませて私の近くへ来て、手を握ります。


「帝…なぜ……」

息も絶え絶えの中で尋ねると、柔らかい笑みを浮かべて

「皆が協力してくれましてね、抜け出して参りました。」

と何でもないことのように仰います。

しかし、帝が内裏を抜け出すなんてとんでもないことです。

一人の妃のためにそんな事をなさったと知れたら、悪くすると廃位に追い込まれるかもしれません。


そんな私の不安を察してくださったのか、尚仁様は

「協力者の中には、左大臣もいますよ。」

と付け足しました。