平安物語【完】




何やら着替えるような物音がします。

――御使者が私に直接の言付けでも承って、白装束に着替えているのかしら…


ぼんやりとそんな事を考えていると、再び足音が御帳台に近づいてきます。


御帳台をめくって

「姫。」

と声をかける父上を見て、何やら乳母がハッと息をのみました。

私は、見苦しい姿を見せまいと、顔を背けて唇を噛みます。

右大将の君が、もう一度私の手を強く握って出ていきました。


「御帳台の、すぐ外におります。」

と言って乳母も出て行き、それに従って少納言の君や二人の女房も席を外しました。