平安物語【完】




「ああ、お懐かしい!」

堪えきれなくなったように、右大将の君が少納言の君に近づいて手を握りました。

少納言の君もにっこりと笑みを返します。


「その子が、あなたのお子なのね。」

やっとよちよち歩ける程度の男の子が、にこにこと私と右大将の君を見比べています。


「はい、隆資(タカスケ)と申します。」

「そう、隆資、おいで。」

私が隆資を呼ぶと、隆資は立ち上がって私の所へ歩いて来ました。

隣に座らせて頭を撫でると、にっこりと私を見つめます。

「物怖じしないで、可愛い子ですね。

きっと大物になりますよ。」

と少納言の君に笑いかけると、少納言の君も嬉しそうに微笑みました。