平安物語【完】




昼前頃に、数人の女房を連れて西の対へと移りました。

数日前に降った雪がまだ庭木に積もっています。

それでも、今日は太陽が出ているため比較的暖かいのです。



西の対に着くとそのまま母屋に通され、右大将の君が待ち受けていました。

「おはようございます。
お待ちしておりました。」

「おはよう。
お邪魔致します。」

用意された席に座ると、耐えかねたように右大将の君が話し始めました。

「女御様、女御様や右大臣様のお心遣いは本当に有り難いのですが、このような立派なお扱いをして頂いてはかえって申し訳なく存じます。

私は、何なら女御様の御座所の庇の間に、女房の局を一つ頂くのでも全く構わないのです。

そうは行かないと仰るのなら、せめて女御様の御帳台の外で休ませてくださいませ。

こんな、西の対全体をお借りするなんて心苦しくて。

それに…」

右大将の君は、一度言葉を切って御帳台を見ました。