「何なりと。」と答えてくださったのを聞いて、乳母がにじり出ました。
「突然、失礼いたします。
根も葉もない、とんでもない噂が飛び交っておりますのをご存知でいらっしゃいましょうか…」
それから乳母が説明を始め、私はいたたまれない気持ちでじっとしていました。
近くに弁が座っていて、優しく微笑みかけてくれます。
「…ええ…存じております……ええ…」
一通りの説明が終わった時、右大将殿が思いがけない事を仰いました。
「万事了解いたしましたが、一つ提案と申しますか…ございます。
弁の君を、正式に妻として迎え入れましょう。」

