平安物語【完】




「来月…?」


――本当かしら。

本来はもっと速やかに退出するべきなのに…。

………もしかして、尚仁様はわざと遅らせている?


疑いを抱いて、すっと目を細めて尚仁様を見ます。

すると少し焦ったように

「本当ですよ!

別に、あなたを引き留めたくて遅らせているのではありません。

本当です。」

と仰り、誤魔化すように口付けられました。