平安物語【完】




「私はあなたを離したくない。

なのにあなたは、そんなにも私から離れたがる…」

「まあっ、離れたがるなんてとんだ思い違いでございます。

私だって、出来ることなら帝に見守られながら御子を産みとう存じます。

しかし、そうは行かぬのですから仕方がないではございませんか。」


私が尚仁様から離れたがっているなんて誤解をされて、つい少し熱くなって言いました。

尚仁様は、ちらりと私の顔を窺った後に、今度は子犬のようにシュンとしてしまわれました。


――か、可愛い…