平安物語【完】




「帝…ありがたいのですが、放して頂けませんと私、恥ずかしくて頭に血が上ってしまいそうですわ。」

ちらりと尚仁様の表情を窺いながら申し上げると、少し考え込まれた後で、

「その方、脇息を持って参れ。」

と側にいた女房にお命じになりました。

そして女房が持って来た脇息を私にあてがってくださって、

「仕方がないので、これで妥協しましょう。」

と微笑まれました。