平安物語【完】




それからしばらく当たり障り無い話などしているうちに、今夜は帝御自身が弘徽殿へおいでくださるとの知らせが入りました。

それを聞いて女房達はわらわらと動き出し、支度を整え始めました。

御簾近くには弁しかいなくなった頃、

「帝の御成りとあっては、皆様お忙しいことでしょう。

私はこれにて失礼いたします。

女御様には、どうぞお体をお厭いくださいませ。」

そう言って席を立ったので、弁や気づいた女房がお見送りに出ようとすると、「結構。」と断り、弁に何かを言って、去ってゆかれました。