平安物語【完】




御寝所に到着し、入ると、愛しい尚仁様が座っていらっしゃいます。

思わず笑みがこぼれると、尚仁様も笑顔を返してくださるのですが、なんだかそれがぎこちないのです。

先ほど感じた嫌な予感がさっと強まり、私もその場で固まってしまいました。


「女御…こちらへ。」

そう促され、重い足を動かして近づき座ると、ぎゅっと手を握りしめられました。