平安物語【完】




「誰かに見られる前に、お引き取りください。」

そう言ってそっと離れようとすると、ぱっと袖を捕まれました。

ぐっと腕が下がり、右大将殿と目が合います。


「女御様…っ」


―ああ、私は侮っていたようです。

私を見つめる右大将殿の瞳には、ひたすらに切ない想いが宿っていました。

この方は、私が尚仁様を想うように、私を想っているのか…