平安物語【完】




もちろん、辺りは真っ暗です。

私は、当然弁は灯明を持って来ると思っていたのですが、灯りは一切見えません。


「弁…?」

何だかとても怖くて、震える声で呼びました。

すると、一台の几帳の陰から人が立ち、こちらへ寄って来ました。


―なんだ、遠慮していたのね。

でも灯りを持っていないなんて、妙だこと。

私を起こさないように消してしまったのかしら。