弁はしばらく黙っていましたが、沈黙に耐えられなくなったのか、重い口をようやく開きました。

「右大将様と、ちょっと…。

みっともないもめ事で、恥ずかしくて申し上げられませんわ。」


「そう、右大将殿でしたか。

私はてっきり、何か不幸な事でもあったのかと…

夫婦喧嘩は犬も食わないと言いますから、なるべく早く仲直りすることですよ。」

私は、尚仁様と気まずくなっていた頃の事を思い出しながら、しんみりと言いました。