平安物語【完】




御帳台からにじり出て見ると、障子のすぐ側で、やはり弁がうつ伏して泣いています。

私が弁の側に行くと、私に気づいた弁がハッと顔を上げました。

「女御さま…」

「弁、どうしたの。

何かあったのですか?」


弁は、ひどく傷ついたような顔をしています。

うなだれることはあっても滅多に泣かないはずの弁の涙を見て、私は内心驚いていました。