平安物語【完】




――ヒック…

…ッ

ウゥ…


暗闇の中から、誰かの泣き声が聞こえてきます。

ぞっとして、「誰か…」と人を呼びましたが、相変わらず皆出払っているようです。

寝ぼけた頭がはっきりして来るにつれて、その嗚咽が誰のものか聞き分けられました。


「弁…?」