平安物語【完】




――昼過ぎから、徐々に人々が集まり始めました。

私達は皆でぞろぞろと寝殿(屋敷の中心となる建物)へ移動し、御簾のこちら側から外の人々を見ていました。

私と椿の上は、身分のため奥の方に居ますが、簀に近い所に居る女房などは殿方の批評などをしてこそこそ話し合っています。

若君は、ご自分のための宴だなんて露知らず、乳母殿の腕の中ですやすやと眠ってしまわれました。