その女性は一瞬驚いたような顔をして、やんわりと微笑みました。 「女御様でいらっしゃいますね? わざわざおいで頂きまして…かたじけのうございます。」 とても上品で、物腰の柔らかな方です。 ただ、いかにも儚げでなよやかだった、記憶の中の母上とは異なり、中肉中背で重々しい品格がおありです。 あっさりと母上を亡くしてしまわれた父上が、真逆のこういう方をお選びになったのは納得ではあります。