すると、なんと帝は、譲位を決断してしまわれたのです。 その噂はあっという間に広がり、誰もが驚きを隠せないようでした。 私自身、朝起きて支度をしていたら急に伝わってきたことで、暫く呆然とするより他ありませんでした。 だって… 帝が譲位あそばすということは、東宮の地位についていらっしゃる、我が君尚仁様が帝位につかれるということではありませんか。 いずれとは分かっていたとは言えあまりに急なことで、喜びも悲しみも何もかも吹き飛んで、ただただ愕然としていました。