平安物語【完】




「それにしたって、まるで軽んじていらっしゃること。

そのお妾がおいたわしいわ。」

「やっぱり左大臣様って、冷血なところがおありだもの。」

「でもそんな左大臣様でも、女を愛したりなさるのね。

北の方との御仲も並一通りだって言うじゃない。」

「だってそのお妾、二十代半ばらしいわよ。

若さには勝てなかったのよ。」