平安物語【完】




「一体、どなたの御腹なの?

北の方はもうご高齢だし、万が一北の方なら、あらかじめ噂が立つでしょう。

あまりに急なご誕生だわ。」


「それがね…左大臣様ったら、妾がいたのよ。」

「えっ左大臣様に!?」

「しかも、噂にならないようにお屋敷に囲っていらしたそうよ。

誰にも見つからないようにお移ししたんでしょ。」

「まぁ…一体いつから?」

「それは分からないわ。

左大臣様だもの、軽々しく話したりなさらないでしょ。」