そんなある日、変な噂が飛び込んできました。 左大臣家に、太郎君(長男の敬称)が生まれたと言うのです。 左大臣の北の方は御年四十、左大臣はお通い所が一つもない生真面目なお方。 ――…一体どなたが産んだと言うのでしょう。 その疑問は、女房達の噂であっという間に解決しました。