仕方がないので、 「心よりお喜び申し上げます、とお伝えください。」 と、聞き取れるか否かの微かな声で、手短に言いました。 この人との会話は二回目だと思うにつけ、なんとも疎ましく感じられて、ますます尚仁様の腕に身を寄せて埋もれました。 すると、「承りました。」との声が終わらないうちに、尚仁様は御寝所の襖を立てきってしまわれました。