―内裏は、そわそわと落ち着かない空気が充満していました。 それは弘徽殿も同じこと…というより、主である私自身が、内裏で一・二を争うくらいにそわそわしておりました。 「まだ知らせは無いのですか。」 もう何度、この言葉を言ったでしょう。 「いえ、まだ…」 乳母もまた、本日何度目かも知れない言葉を返してきました。