「随分と可愛い事を言ってくれますね。

離れてみるのも良いものだ。」

と、笑いながらからかうように仰るので、私は尚仁様の背に回した腕にぎゅっと力を込めました。


「そう…離さないでください。

私から離れてはいけませんよ。

私こそ、どんなに寂しかったか…」

打って変わって真剣な声で仰るので、尚仁様のお顔を見上げると、やはり真剣な尚仁様の視線に捕らわれました。


私たちの間の溝は、あっという間に埋まってしまったのです