平安物語【完】




「東宮様へのお返事を、お書き直しになりますか。」

返答のないこちらに向かって、頭中将殿が声を掛けてきました。


――なんて白々しい…


「弁。

そのままでよろしいと伝えて。」

そう言うと、弁は「はい。」と言って立ちました。