それからは、ずっと弁の幸せいっぱいな話を聞いていました。 最初は恥ずかしがっていましたが、こちらから質問をすれば喜んで答えるのです。 ――ということは、あの扇は弁への合図だったのかもしれない。 並ぶ者もいない人気を誇りながらも浮気な噂が一切無い頭中将殿の想い人が、私の可愛い弁であった事が誇らしく嬉しく、和気あいあいと語り合っているうちにすっかり夜の帳が降りていました。