尚仁様の御文の内容は、いつもと同じく、まず私の体調を案じてくださってから最近の出来事についてお話くださり、早く風邪を治して帰って来るようにと締められていました。 しかし今日の御文には更に一枚の紙が挟まれていて、いつになく走り書きのようなお手が並んでいました。 『使者にこの手紙を託そうとしたところへ頭中将がやって来て、丁度右大臣邸へ行く用事があるからと言うので、あまり強く断ることも出来ずに託してしまいました。 あなたに不愉快な想いをさせただろうことを謝ります。』