平安物語【完】




――どうして…

頭中将殿ほどの方が、使者に…

何より、尚仁様もあの日の事はご存知のはずですのに。

どうして…?


呆然と頭中将殿を見つめていると、おもむろに頭中将殿が懐から扇を取り出しました。

父上の冗談に笑った時、その扇を私の方に向けて口元を隠しました。


――…!!

あれは、あの日私が落とした扇…!


愕然としていると、すぐにその扇を畳んで膝の上に置き、何事も無かったかのように父上と談笑し続けました。