平安物語【完】




私がそう申し上げますと、尚仁様はお口をぽかんと開け、その後でみるみるお顔が赤くなって、手で目を覆うようになさってうなだれていらっしゃいます。

「…あなた様?」

恐る恐る声をおかけしますと、
「全く…わざとなのか、無意識なのか…。
どちらにせよ、タチが悪い…。」
とぶつぶつ呟かれて、そのまま私の肩を押して横になりました。

ますます訳が分からないでおりますと、

「頭の中将には私からきつく口止めしておきますので、気になさいませんように。

というか寧ろ、一刻も早く忘れなさい。」

と仰いながら私の着物を崩しにかかっていらっしゃいます。