「そんな…」 責め立てられているような気がして、ますます涙が溢れます。 「嘘ですよ。 あなたを見られたのは、他でもない、私の考えが足らなかったからです。 申し訳ない事をしました… よりによってあなたを、よりにもよって頭の中将に…」 そう仰ってきつく唇を噛まれますのでおいたわしくて、ふるふると頭を振って尚仁様の右手を両手で握りました。 顔を見られたくなかった事なんて、あっという間に忘れてしまっていました。