―見も知らぬ殿方が、こんな近くに来るなんて! 私は恥ずかしさと共に苛立ちを覚え、ふいと横を向いて拒絶の意を示しました。 すると彼も気付いたのか、一歩下がって跪きました。 「これは失礼いたしました。 つい安堵いたしまして…」 私が声を聞かせるなんてとんでもない事なのに、明らかに私一人に話し掛けているので女房達も対応に困っています。 仕方がないので、ほんの微かに「ご迷惑をおかけしました」と言いました。