供の女房達が興奮気味に話しているのを背中で聞きながら、昭陽殿へと到着しました。 ―とその時 御寝所近くに一人の貴公子がうろうろしているのが目に入り、顔にかざしていた扇を更に高く上げ、立ち止まりました。 女房達は何やら色めき立っています。 そんな私達一行に気付いた彼は、 「弘徽殿様ですね? 良かった、もうお迎えを差し上げようかと思っていたところだったのです。」 と言いながらこちらへ近づいて来ました。