平安物語【完】




「席を…外してくれますか。」

私がそう言うと、私の供の女房達、宮様の周りの女房達、そして宮様の乳母殿も部屋を出て行ってくれました。

私はそれを確認してから、膝をついて宮様に近づきその小さなお手に手を重ねました。


「宮様…実は私も、幼い頃に母を亡くしました。」

涙に濡れたお顔を、はっとしてお上げになります。


「悲しむ事は、決して悪いことではございません。

泣きたい時はお泣きあそばせ。

それでも、必ず良い事はあるのです。

身を裂かれるような痛みを味わった者は、それだけ強くなれるのですよ。」