平安物語【完】




「東宮様は、女御様のことを大層お褒めでしたわ!

この世に類を見ない美貌の持ち主で、ご自分の一番愛しいお方だとのろけていらっしゃいましたのよ。」

そう仰ってまた可愛らしくお笑いになりました。


さて、困ってしまうのは私です。

まずそんな過剰評価をお聞きになったお方に会うのも恥ずかしいし、そして何より、尚仁様のご寵愛を争うべきお方より「尚仁様の一番愛しいお方」なんて言われては、一体何と返せば良いと言うのでしょう?


…しかし、目の前の宮様には嫉妬や嫌みというものを全く感じられないのです。

おそらく、何の深い考えや裏もなく、ただ思ったままに仰っているのでしょう。

まだ、世間の埃もつかないような姫宮ですもの…