平安物語【完】




―…

「…ご。

女御…。」


尚仁様の腕の中で幸せ過ぎる眠りについていると、私の体を優しく揺する尚仁様に起こされてしまいました。


「…!

私、寝過ごしてしまったのですか!?」

ぱっと覚醒して体を起こすと、優しく微笑む尚仁様と目が合いました。


「違います違います。

迎えが参るまであと半時ありますよ。

ただ、あなたがお帰りになる前に言っておきたいことがありまして…」

優しく仰る尚仁様のお言葉にほっと胸をなで下ろし、急いで身なりを整えて尚仁様に相対しました。