「ねぇもし…もしよ?
もし姫宮が東宮様に入内なんてなさったら…」
「まさか!
御年がいくつお違いだと思っているの?
11よ、11!!!!」
「だから、もしもの話だったら!」
「でも有り得ないことでは無いわね。
東宮様と式部卿の宮様は大変仲のよろしいご兄弟でいらっしゃるし…」
「でも、まさかここに来てうちの女御様がないがしろにされるような事はないでしょ!」
「そうよね、東宮様が御元服なさった時からのお妃ですもの」
「女御様よりお美しい女人なんて、いる訳がないわ。
そんなに美女が溢れる国だったら、楊貴妃なんてなんて事ないんじゃなぁい?」
「ほんとよねー」
―入内なさるのよ…
その事は、まだ伝わってはいないのね

